私の #推し記事2021

もう12月ですね。私は7年ほど前から、その年に聴いてよかった音楽や読めてよかった本を記録して年末にまとめる、という遊びを一人でしています。ただの箇条書きになる年もあれば、細かな感想を書き残したい年もあり、毎年てんでばらばらなトーンの文章を大晦日(間に合わないときは年明け)に慌てて書く。それでも後から読み返すと、曲名や書名を通して当時の気持ちをなんとなく思い出すから不思議です。

 

この年末は、今年よかったインターネットの記事を振り返るネット上のリレー企画「 #推し記事2021 」に参加します。みんなで書いたり読んだりするのは楽しい。「私も書きたいな〜」と思った方は、ぜひ以下をのぞいてみてください。まだ人が集まってなくてさびしいので!!

▼#推し記事2021 アドベントカレンダー
https://adventar.org/calendars/7016

昨日の記事:
インターネットの #推し記事2021 を3本あげてみる
https://note.com/takahirokuroki/n/n7eb7b7ac5475

ということで、私が今年読んで印象に残っている記事をいくつか紹介します〜!


●ドライフルーツで果実酒を仕込むとすごい
https://dailyportalz.jp/kiji/driedfruit-kajitsu_shu
(JUNERAYさん/デイリーポータルZ

マンゴーやイチジクなど5種類のドライフルーツを、テキーラやダークラムなどのお酒に漬けてみる記事。こう書くとよくある「作ってみた」記事のようですが、丁寧さが段違い。調理のあり方としても記事としても細かく作り込まれていて、ほれぼれと読みました。

手順は簡単だけど、お酒に詳しいJUNERAYさんによる説明や食べ合わせの描写が、たまらなく美味しそう。シンプルに「いいな〜やってみたい!!!」という気持ちになります。写真の撮り方も勉強になる。

また、この記事は酒税法上の観点から、当初の公開内容が修正されています(記事冒頭の注釈とリンクを参考)。一度記事を取り下げた経緯と果実酒を作る際の注意点についてフォローし、今後さらに専門家への問い合わせを検討している点に、編集部とJUNERAYさんの読者に対する誠実な姿勢を感じました。もし続報が記事になるならぜひ読みたいです。

JUNERAYさんの記事は、オモコロで書かれていた「【検証】知らないキャラクターの「イメージカクテル」は作れるか!?」( https://omocoro.jp/kiji/311031/ )も好きでした。誰かにとって大切な存在(ここでは二次元キャラクター)に対して、JUNERAYさんがすごく細やかに考えてカクテルを作ることで、記事が面白くなっている。ファンです!


●差別があるままに他者と交わる世界に生きている
http://www.webchikuma.jp/articles/-/2521
(鳥羽和久さん/ちくまweb)

まずは一度読んでみてほしいです。これは10代の学習の場に携わる筆者による「十代を生き延びる 安心な僕らのレジスタンス」という連載。この回は、実際にあったエピソードをもとに制服にまつわる生徒同士のやりとりから始まります。

宗近くんは、性的マイノリティの権利を認めると言っている仲間たちの「軽さ」に心からの怒りを表明しています。「差別はいけない」という形でマイノリティが社会的に包摂(ほうせつ)されるようになった状況は、これまでのマジョリティの支配と何も変わっていない。むしろそれも差別の一形態じゃないか。宗近くんはそのことに気づいて怒っています。


私は普段、企業のオウンドメディアの記事を企画・編集して働いています。ビジネスの場でトレンドを掴むのが重要なのは分かる。けれど、社会の流れが今こうだから、という理由だけを迷いなく受け入れて企画を進めると危ない。自分の立っている場所を勘違いしかけたときに読み返したい記事です。

私にとっての良い親の定義のひとつは、「これほど差別はいけないと思っている人でも、ある面で差別的なんだ」ということを子供に知らしめる存在としての親です。


個人的には上記も刺さりました。親についてこういう見方があったかと、はっとした。ふと連想したのは、今年とりわけ夢中になって読んだマンガ『違国日記』と『花井沢町公民館便り』(どちらもヤマシタトモコ作)です。他人と分かり合えないことがもたらす希望について、2021年はよく考えました。


●くたばれ、本能。ようこそ、連帯。
http://www.webchikuma.jp/category/kutabare
(高島鈴さん/ちくまweb)

記事単位で選べなかったので連載一覧のリンクを貼ります。アナーカフェミニストの高島さんによる『BEASTARS』『呪術廻戦』『進撃の巨人』についての論考です。めちゃくちゃ面白かった。本当に面白かった〜〜〜!! 前のめりになっちゃった連載です。

高島さんの文章からは、自分が何かを読む・見る・聞くときに漠然と感じる「まだ言葉にならないが引っかかる」事柄について、スルーしないエネルギーを分けてもらえる気がします。考え続けることは疲れるけど必要なので、ありがたい。ファンです。

私は学生時代から図書館のレファレンスサービスに興味があり、web記事も注釈や参考文献がしっかり入っていて読み手が次のアクションを起こしやすいものほど好き…となるタイプなので、その点でもうれしくなりました。


●漫画『【推しの子】』赤坂アカ×横槍メンゴ×担当編集・サカイ(後編)/漫画の話をしない編集者が、スター作家たちともたらす化学反応
https://news.livedoor.com/article/detail/20446262/
(取材:岡本大介さん/livedoor NEWS)

作品に関するインタビューですが、もろもろの固有名詞を知らず後編からいきなり読んでも十分面白い! 記事に登場する編集者・サカイさんの考え方が興味深かったので選びました。

作者に対して会社員として尽力する姿勢がすごいのと、隠しきれない(?)サカイさんの切れ味を記事に入れ込んでいるところがよかったです。記事内でも言及されているように、マンガ編集者と他ジャンルの編集者とでは異なる点があるかもしれませんが、私に足りないものを突きつけられるので定期的に読み返すようにしています……。

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こんな感じです。ニュースはいろいろあって絞れなかった……来年は年始からもっと細かくメモしておきたい。おわり。

 

ちなみに12月15日には、推し記事についてわいわい話す会を配信します。無料なので、よかったらのぞいてみてください〜!

▼2021年あなたの推し記事は? ネット文章大好き編集者&ライターと振り返る
https://o-shi-ki-ji-2021.peatix.com/

 

 

 

※この記事は、エッセイ投稿サービスShortNote(ショートノート)のサービス終了に伴い、投稿を居はてなブログに移したものです